Table Game

 

「いや、すまないね。私がまた勝ってしまったようで」

 全くもってすまないと思ってない様子で男――プレイヤーAは言った。続けて、まだ勝負するかい? とも。
 勝ち続けるプレイヤーAの対面に座る男、プレイヤーBは元々神経質そうな顔をますます険しくさせて……ああ、これが苦虫を噛み潰したような顔というのか、と改めて思い知る顔でAを見た。そして短く「ああ」と答えた。

「へえ、まだ続けるのかアンタ」

 そうニヤニヤしながら言ったのはAでもBでもなく、プレイヤーCだ。まるで、こんなに負けているのにまだ賭け続けるとか頭オカシイんじゃないの? みたいな言い方だ。負けてストレスマックスのプレイヤーBがぶちギレるのではないかとひやひやしたが、意外にもBはCの言葉に反応せず何故か僕をじっと見ている。え、僕、なにかした? え、うそ、今にも僕を殺しそうな目で見てるんですけど。
「お前」とプレイヤーBが僕を見ながら言った。「は、はい!」とこのテーブルゲームにそぐわない体育会系の元気いい返事したのは恐怖による脊髄反射だ。

「ちゃんとカードを切れよ」

 獲物を前にした狼のような鋭い目つきでプレイヤーBは言った。……僕はさっきからそのつもりなんだけどな。やっぱり、僕のような新米ディーラーが立つようなゲームじゃなかったんだよ、ここは!
 僕を見捨てた先輩を恨みながら、プレイヤーBの殺気に耐えつつ震えながら次のゲームに備えた。

 

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